が知らないなかで行われていた――。「桜を見る会」前日の夕食会をめぐり、
1時間あまりに及んだ安倍晋三前首相の記者会見。おわびの言葉とともに強調さ
れたのは、自らの関与の否定だった。「監督責任は」「本当に知らなかったのか」。
市民の不満は根強く、疑問も尽きないままだ。

「普通の会社ならば、上司として監督責任を問われるのではないか」。
安倍晋三前首相が不起訴となり、公設第1秘書だけが略式起訴されたとの
ニュースが流れると、川崎市の主婦(64)は苦言を呈した。

 10年ほど前に株式への投資を始めると、アベノミクスの影響もあって
株価が上昇。
数百万円の利益を得て、恩恵を受けてきた。だが安倍氏の会見には
「すっきりしない」。桜を見る会の前日の夕食会の費用補塡(ほてん)
は知らなかったと、安倍氏は強調したが「会社なら上司への相談なしに
重要な判断はできない。知らないわけがないのでは」と疑問を拭いきれない。

茨城県の工場で働く男性(28)も「あれだけ騒がれた問題で、秘書がきちんと
報告しないはずがない。『知らなかった』では済まないのでは」と語る。

「首相を辞任した理由は病気じゃなくてこっちだったのか、と思ってしまう」
と話すのは、千葉市の投資運用会社幹部の男性(41)だ。菅義偉首相が安倍氏
をかばっているように見えることも気になっているという。「トップの求心力は
株価に影響が出る。年明けは値下がりするかも」と語った。