多文化交流施設「川崎市ふれあい館」(川崎区)に在日コリアンを脅迫するはがきを送ったなどとして、威力業務妨害の罪に問われた元川崎市職員、荻原誠一被告(70)に、横浜地裁川崎支部は3日、懲役1年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。

 判決によると、被告は昨年11月〜今年2月、川崎市内外の学校9校に爆破や生徒に危害を加える内容の脅迫状を送付。ふれあい館には「在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう」と書いたはがきを送るなどして、学校や施設の業務を妨害した。

 江見健一裁判長は「広範囲の人たちに無差別な犯行を繰り返し、被害者側の負担や心情をおもんぱかる姿勢も見られない。刑事責任は重く、実刑は免れない」と説明した。動機に関しては、市役所在職当時の元同僚への恨みから、職場での評価を下げる目的で、脅迫状に元同僚の名前をかたるなどしたと指摘した。

 ふれあい館の崔江以子館長(47)は判決後の記者会見で「被告の行為は、在日コリアンの存在そのものを否定するヘイトスピーチであり、差別を動機とする犯罪だ。人権侵害への反省がないことから、重い司法判断が示された」と語った。

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