第203臨時国会は5日、閉会する。これを受け、菅義偉首相は4日、首相官邸で記者会見し、安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の費用を安倍氏側が補塡(ほてん)した問題に関し「国会で答弁したことに責任を持つことは当然だ」と述べたが、具体的な対応は触れなかった。日本学術会議が推薦した新会員候補6人を任命しなかった理由について「人事に関することで差し控える」と述べるにとどめた。
 首相は新型コロナウイルスの感染拡大に関連し、来週に予備費を使い、ひとり親世帯などへの臨時特別給付金の再支給を決め、年内に支給する方針を表明した。「所得が低い世帯は1世帯5万円、2人目以降の子どもについては3万円ずつ支給する」と明らかにした。地方創生臨時交付金については「1・5兆円確保する」と述べ「医療機関、高齢者施設などのコロナ対策に最大限の支援を行う。保健所、軽症者のホテル、重症者用の病床についてさらに体制を整える」と語った。
 「桜を見る会」の前夜祭で安倍氏側が費用補塡した問題を受け、首相の官房長官時代の答弁との整合性が問われている。首相は「必要があれば私自身が前首相に確認しながら答弁を行ってきた」と説明。学術会議に関し「新たに任命を行う場合には学術会議から推薦をいただく必要がある」との認識を示した。
 首相は衆院解散・総選挙について「感染拡大を阻止して経済の再生が最優先だ。ここにまずは全力で取り組む」とし「衆院議員の任期も来年秋までなので、いつか選挙を行う必要がある。時間的制約も考えながら、よくよく考えていきたい」と語った。
 首相の会見は10月のインドネシア訪問時を除けば、就任した9月16日以来、約2カ月半ぶり。立憲民主党など野党4党は会見に先立ち、国会会期を28日まで延長するよう求める動議を提出したが、与党などの反対多数で否決された。【笈田直樹、水脇友輔】 https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/politics/mainichi-20201204k0000m010397000c