発症して初めてエイズウイルス(HIV)の感染がわかる「いきなりエイズ」の人が、滋賀県内の感染者の半数を占めていることが県の集計でわかった。2008〜19年で110人中54人(49%)。HIVは感染しても数年〜10年は無症状で、この間に検査を受ける人が少ないのが要因とみられる。早期発見で発症は防げるといい、県は検査を呼びかけている。(矢野彰)

県ワースト3 検査呼びかけ

 HIVは性行為での感染が大半で、日常生活でのリスクはごく低い。感染しても無症状かインフルエンザのような症状がある程度で、気付かないまま進行すると次第に免疫力が低下する。肺炎や脳症などで死亡するケースもあったが、現在は抗ウイルス薬の進歩で、症状を一定、コントロールできるようになっている。

 県内では08〜17年の10年間、感染や発症が判明した88人のうち44人が「いきなりエイズ」で、同期間の全国平均(30%)を上回り、ワースト3位だった。18年は10人中4人、19年は12人中6人、20年は10月末までで7人中5人が「いきなりエイズ」だった。

 感染と同時に発症がわかった人の多くに、原因不明の長期間の発熱や下痢、帯状疱疹ほうしんなど、感染者によくみられる兆候があった。県は、この症状が続く場合、感染の可能性もあるとみて保健所や医療機関での検査を受けるよう呼びかけている。感染から3か月以降には抗体の有無で感染が分かるという。

 ただ、県内の保健所での検査件数は伸び悩む。県は目標値を「2023年に1400件」と設定しているが、15〜19年は753〜893件止まり。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、1〜9月で463件と、例年を下回る見通しだ。


「いきなりエイズ」発症して初めて発覚、感染者の半数に
2020/11/27 09:02
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20201126-OYT1T50142/