星間飛行とキラッについて

松本
事前にもらったオーダーが「銀河一のアイドルのデビュー曲」だったから、この曲の対象には異星人も入るわけでさ。ゼントランにも愛される歌詞にしようと思ったんだよ。そこで歌われるものって、超普遍的な愛じゃない。あのシーン(12話のランカ歌唱シーン)は、アニメ史に残る名シーンだと思う。
そういえば、最初は「キラッ!」がメロディに組み込まれていて、音が低かったじゃない?
あんまり響かない感じだったから、レコーディングのときに君に言おうかどうか、実は迷っていたんだよ。そうしたら君は、その場の判断で「キラッ!」をセリフっぽく、高い声で歌わせたでしょう?
俺はそのとき、菅野よう子はさすがだなと思ったよ。あれって、理屈で出てきたものではないでしょう?

菅野
おっしゃる通り、理屈ではないです。そういう、自然発生的に何かが現場で生まれる瞬間って、たまにあるんですよ。

松本
あるね。上手くいくときって、直感的にわかる。寺尾聡の「ルビーの指環」がそうだったな。俺以外、あの曲が売れるなんて思ってなかった。でも、聴けばわかるんだよ。

菅野
すごくよくわかります。

松本
いままで、詞先で作曲したことってあった?

菅野
ありますよ。詞先はすごく好きです。歌詞がもうメロディを謡っているから。それをそのまま曲にすれば良いだけなので。すごくやりやすいです。

松本
やっぱり、君は本能の作家だよね。俺はさ、理論派の作家って嫌いなんだ。本能の作家のほうが、作ったものが奥深い。