鹿児島大学は12日、同大大学院理工科学研究科の上野大輔准教授らが、与論島の海岸で採取したカニからダンゴムシやフナムシの仲間の甲殻類「カニヤドリムシ」の新種を発見したと発表した。
米国のホフストラル大学との共同調査で新種であると確認し、与論島を表現する方言「ユンヌ」にちなんで「ユンヌカニヤドリムシ」と命名した。国内でのカニヤドリムシの新種発見は66年ぶり。
合わせて、東南アジアの一部で確認されている「カニヤドリエビヤドリムシ」も国内で初めて与論島で確認され、上野准教授は「与論島の自然の豊かさの一端を象徴する発見と言える」との見解を示した。
ユンヌカニヤドリムシは雌の体長が約2a、雄は2_弱で、分布するイボシンジョウガニの体内に寄生。カニヤドリムシ科に属し、「種」よりも上の「属」のランクで新たな分類群になるという。
学名は「Allocancrion yunnu」(アロカンクリオン ユンヌ)とした。
カニヤドリエビヤドリムシは雌の体長が約2センチで、雄は4ミリ程度。オオイワガニの背甲の下に寄生する。これまでにパプアニューギニアと台湾での確認が報告されている。
昨年5月に与論島内の海岸で実習を行っていた鹿児島大学の学生が採取した数匹のカニから2個体ずつ確認され、上野准教授らが寄生種に詳しいホフストラル大学と合同で詳細に調査し、新種と国内初確認の種であるとの見解で一致。
日本甲殻類学会の英文雑誌「クラスタリアン・リサーチ」の今月6日付けオンライン版で発表された。
上野准教授によると、両種の甲殻類の寄生が確認されたカニは南日本の磯で普通に見られ、古くから研究されているという。
上野准教授は「身近に見られる生物から新種や国内初記録の寄生生物が見つかるのは非常に珍しく、今回発見された2種は限られた海域に分布する希少種の可能性がある」と述べ、発見の意義を強調した。
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