広島朝鮮初中高級学校の高級部(広島市)を高校無償化の対象から外したのは違法として、運営する学校法人「広島朝鮮学園」と元生徒109人が処分の取り消しと在学中の受給額などに相当する計約6000万円の損害賠償を国に求めた訴訟の控訴審判決が16日、広島高裁であった。
三木昌之裁判長は国の処分を合法と判断した1審・広島地裁判決を支持し、学校側の控訴を棄却した。

全国5地裁・支部に提起された同種訴訟は、2017年7月の大阪地裁判決で唯一の違法判断が示されたが、18年9月の大阪高裁で覆り、学校側が逆転敗訴した。東京、大阪、名古屋の訴訟は最高裁が上告を退けて敗訴が確定。残る高裁判決は福岡訴訟のみとなった。

訴状などによると、学校に就学支援金が支給される高校無償化は10年4月、当時の民主党政権が導入した。しかし、国は北朝鮮による同年の韓国砲撃で朝鮮学校の支給審査を停止。
12年の政権交代後、国は北朝鮮や朝鮮総連との関係を問題視し、13年2月に朝鮮学校を無償化の対象外とした。

朝鮮学校へのこうした処分は教育の機会均等を保障する憲法に違反するとして、学校側は13年8月に提訴。
17年7月の広島地裁判決は、北朝鮮や朝鮮総連と密接な関係にある朝鮮学校が「不当な支配」を受け、教育基本法に違反する恐れがあるとする国側の主張を全面的に認めた。
学校側は「政治的意図に基づく除外で『不当な支配』を不指定理由とすることは恣意(しい)的で誤っている」と訴え、裁量権の乱用に当たるとして控訴していた。【手呂内朱梨、賀有勇】

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