ゴールデン・ウィーク中の読売新聞が5月4日付一面トップでその詳細を報じていた。これを読んで恐ろしくなった読者は多かっただろう。
記事では、日本もその舞台となっていることが当事者の談話も交えて暴露されていたからだ。〈技術狙う中国「千人計画」〉と題されたその記事は一面と四面をぶち抜いて、
中国が世界最先端技術の研究をしている技術者や教授たちをどんな待遇でどう招き入れているかをレポートしている。

 AI(人工知能)を専門とする東工大元教授(70)は6年前に中国の国家プロジェクトへの参加を呼びかけられ、
5年間で1億円の研究資金や給料、手厚い福利厚生など破格の待遇を提示され、中国に渡ったのだそうだ。
これは中国の外専「千人計画」による。このプロジェクトには、恐ろしいことに世界中から毎年数千人の応募が殺到しているという。

 この東工大元教授の研究は、無人機を使って攻撃したり、自爆したりすることに応用できるもので、
「中国の大学は軍事技術を進化させる研究をして成果を出すのが当たり前だという意識が強い。
外国の研究者を呼ぶのは、中国にはない技術の流出を期待しているからだろう」とのコメントも記事には紹介されている。

 私は、破格の厚遇で共産党独裁政権に協力し、自国の脅威になるような技術と研究成果を提供しようとする科学者たちのモラルと意識について、考えざるを得なかった。
周知のように日本学術会議は、日本国内では「戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない」と声明し、安全保障分野での研究や開発をタブー視してきた歴史がある。

 しかし、その構成員である研究者たちは、日本の軍事研究にこそ協力しないものの、中国の軍事技術の発展につながる研究には何の抵抗もなく「協力する」のである。
https://web-willmagazine.com/social-history/Vb71R.amp