兵庫県警神戸西署の若手女性警察官がこのほど、職務質問(職質)をした男の所持品から大麻を発見し、現行犯逮捕した。県警の“職質の達人”に指導を頼み、ソフトな対応で逮捕につなげた。
県警は、犯罪の抑止や事件発覚のきっかけとなる職質に力を入れており、県警幹部は「若手の励みになる」と評価している。

 同署地域2課の吉本紗世巡査(23)。8月13日深夜、先輩ら2人とパトロール中の午後11時50分ごろ、ふらつきながら自転車を無灯火で運転する男を発見。
「夜中に無灯火はおかしい」と呼び止め、3人で囲んだ。

 男はイヤホンをしており、最初は話に応じなかったが、吉本さんが「防犯警戒で回っています」と優しく声掛け。
所持品検査にこぎ着けると、財布から粉の入った小袋が見つかった。男は抵抗せず、大麻であることを認めたという。

 「なぜ逃げなかったんですか」と尋ねると、男は「声を掛けられた時にダメやと思った」と力なく返答。
「怖さより、驚きが大きかった」といい、改めて職質の重要さを感じた。

 吉本さんは小学生の頃、白バイ隊員に憧れて警察官を志望。中学時代の同級生を交通事故で亡くし、事故を減らしたいとの思いから、19歳で県警に入った。
制服に袖を通して3年。さらに成長するために昨年、県警の職質能力向上講座に参加した。

 なかなか結果につながらず、「自分には何が足りないのか」と自問自答した。8月初旬、以前に指導を受けた県警本部の堂園悟史・職務質問技能指導官(52)に、パトカーの同乗指導を依頼。
「あのとき声を掛けておけば、と後悔しないように」との助言を胸に、今回の職質に臨んだことが逮捕に結びついたという。

 「職質は容疑者の逮捕だけでなく、犯罪の発生も防ぐ。(吉本さんの)積極的な姿勢が良かった」と堂園さん。
吉本さんは「常に1番に現場に駆け付ける警察官でありたい。少年犯罪や虐待など悲しい事件をなくしたい」と表情を引き締めた。

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