3月31日、1頭のライオンが広島市安佐動物公園を後にした。行き先は、500キロあまり離れた豊橋総合動植物公園(愛知県豊橋市)。輸送業者のトラックに
乗せられたライオンは1歳のオスで、まだたてがみは生えそろっていない。名前は、アースといった。
アースは2018年秋の同じ時期に生まれた3頭のうちの、最後に残った子だった。ほかの2頭は先に無償で他園へと引き取られ、アースも無償で譲られた。
市民から人気もあったライオンの子どもたちをなぜ他園にあげてしまうのか。動物取引に詳しい動物商、レップジャパン(静岡市)の白輪剛史(しらわつよし)
代表はこう解説する。「ライオンは余っている。ほしいと言ったらタダでくれるところはいくらでもある。買うとしても20万円程度。猫より安い」
朝日新聞の調べによると、14年度からの5年間で全国の公立動物園から搬出されたライオンは14頭いたが、そのうち11頭が無料でもらわれていった。
このほか、たとえば熊本市動植物園は15年、私立動物園から10万円で雄ライオンを購入。東京都の資料では、ライオンの資産価値は10万円と見積もっている。
一方、ペットショップで20万〜40万円で売られる猫もいる。
白輪さんによると、ライオンは…
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