Withコロナ時代の安全なセックスとは?
忽那賢志 | 感染症専門医
9/6(日) 11:55

コロナはセックスで感染する?

現時点では、新型コロナウイルスがセックスで感染することは証明されていません。
中国から精液から新型コロナウイルスが検出されたという報告はありますが、これはPCR検査でウイルスの遺伝子が見つかっただけであり、ウイルス培養された(=ウイルスに増殖能力がある)わけではないため、セックスでコロナが感染することを意味しません。
一方で、唾液や便中から新型コロナウイルスが検出されていること、舌にはACE2受容体が多数発現していることからは、キスやオーラル・アナル・セックスによって感染しうると考えられます。
したがって、生殖器同士の接触そのものというよりは、その周辺にある行為が感染に繋がり得るという意味で、コロナにも配慮したセックスが模索されています。

国内のコロナ禍での性生活の変化は?

さて、このコロナ禍で日本における性生活はどのように変化したのでしょうか?
実はこの記事をお読みくださったTENGA関係者の方から月刊TENGA(という雑誌があることも寡聞にして知りませんでした)の「コロナと性生活」特集におけるアンケート調査の結果をご紹介くださいました。
20代〜50代の男女960人に調査した、大変貴重な日本国内におけるコロナ禍の性生活のデータです。

平時と比べて性生活に変化があったと答えた人が、緊急事態宣言が出された4月には24.1%もいたとのことです。
新型コロナの流行とともに変化があったと答えた方が増え、流行が落ち着いた5月に低下しています。

実際のセックスの回数の変化ですが、こちらについては二極化が進んでいます。
「月20〜30回」のグループは倍増していますが、一方で「月1〜9回」のグループは全体的に減少し、また「月0回」のグループは増加しています。
これは新型コロナの流行によって、外出がしにくくなり自宅にいる時間が長くなったことから、同居しているパートナーがいる人は回数が増加し、同居しているパートナーがいない人はなかなか会いづらくなり回数が減ったのではないかと推測されます。

最後に、性生活の変化の具体的な内容についてですが、緊急事態宣言中には「セックスレスが改善した」という人も「セックスレスになった」という人もどちらも増えています。
これは前述の理由によるものではないかと考えられます。
しかし、緊急事態宣言が解除された5月には「セックスレスになった」人が減少し元に戻りつつある一方で、「セックスレスが改善した」人はその後も増加しており、コロナ禍での数少ない良い効果と言えるのかもしれません。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200906-00196932/