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 菅氏の勝利は、党内5派閥の支持により、総裁選の告示前に事実上決していた。
自らは無派閥であることを強調するが、勝ち馬に乗って主流派であり続けることを最優先した、
国民そっちのけの派閥の合従連衡の結果であることを、決して忘れてはならない。

 あすの臨時国会で首相指名選挙が行われ、菅内閣が発足する。菅氏は派閥の要望は受け付けず、
改革意欲のある人を起用すると繰り返してきたが、自らを総裁に押し上げてくれた派閥の圧力を受け流せるのか。
「国民のために働く内閣をつくる」という決意が試される。

 菅氏はまた、自民党の旗の下での「一致団結」を訴えた。
であれば、今回、総裁選を戦った岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の要職での起用を考えてもいいのではないか。
それは、自らに批判的な勢力を遠ざけ、党内から闊達(かったつ)な議論の空気を奪った「安倍政治」の見直しにつながるだろう。

https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S14621933.html