俳優・土屋シオンさんが突き止めた誹謗中傷の意外な加害者 直接向き合い見つけたこと

SNS上で誹謗(ひぼう)中傷を受けると、警察による捜査や裁判を通じて加害者の責任を追及するのが一般的だが、別のやり方で加害者と向き合った人もいる。テレビドラマや舞台で幅広く活動する俳優で演出家の土屋シオンさん(28)だ。苦労して加害者を突き止め、実際に面会。疲弊することも多かったが、「行動を起こして良かった」と振り返る。その訳は……。

<この4流役者め!!!!!!>

<四流俳優の死ってドラマ作ろうww>

 仕事や趣味、日常のニュースから思ったことを積極的にツイッターでつぶやいていた土屋さん。今年2月ごろから、悪質な書き込みや嫌がらせのようなリプライ(返信)が自身のアカウントに寄せられたり、土屋さんのツイートにリツイートしたりする形で拡散したりするようになった。

 粘着質な相手には「二度と絡んでくんな」と返信したが、収まるどころか「炎上」を招いた。ウィキペディアの土屋さんを紹介するページでは、「没年月日 2020年3月30日」「死没地 twitter」などと改変された(現在は削除)。

 自身のフォロワーは3万人。ツイートに「いいね」してくれる人は、本当に自分を支持してくれる仲間なのだろうか? それとも敵?

 「3万人が監視していて、その中に殺人鬼がいるような気がした」

身元を特定した10人のほとんどは10代だった

 だが、こうした中傷を、「スルーせず、向き合いたい」と約10人の身元を特定。驚いたのは、ほとんどが10代だったことだ。「人生これから」という時期。訴訟に持ち込んだり、通学している学校に連絡したりして、退学に追い込まれる事態は避けたい。そう考え、電話で直接やり取りすることにした。

直接話してわかった希薄な加害意識

 「書き込んだのは、なんとなく。理由なんてないです」

 中学生から大学生までの男女と話したが、拍子抜けするほど加害意識が希薄だった。

 「芸能人はみんな(中傷されることを)我慢しています」「(土屋さんの)イメージ悪くなりますよ」などと、自分のしていることを「正論」のように主張する学生もいた。

 土屋さんの電話を受け、「これって、要は訴えたり学校に連絡したりしないから話せってことですよね」と「脅迫された被害者」のように振る舞う人もいたという。

 彼らの主張に対し、土屋さんは冷静にこう説いた。

 「『なんとなく』『芸能人だから』という理由で奪っていい尊厳なんてないし、『みんながやっているから』というのも違う。それは正しさの証明にはならない。何が正しいか、自分で考えることが大事」

https://mainichi.jp/articles/20200910/k00/00m/040/003000c