【シンガポール=森浩、ワシントン=黒瀬悦成】東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国と日米中韓など
域外8カ国が参加する東アジアサミット(EAS)外相会議が9日、テレビ会議方式で開かれ、南シナ海情勢などを
めぐり、対立を深める米中が批判の応酬を繰り広げた。

 米国務省のオルタガス報道官によると、ポンペオ国務長官は、中国による南シナ海での主権主張を全面的に
退けた2016年のオランダ・ハーグの仲裁裁判所判決を支持する立場から、南シナ海で海洋権益の拡大を
図る中国の行動は「違法だ」と改めて強調した。

 ポンペオ氏は、中国が香港に国家安全維持法(国安法)を導入し、民主派が相次いで逮捕されていることなどに
ついても、他の参加国とともに懸念を訴えた。

 一方、中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相は「米国は南シナ海の軍事化の最大の推進者であり、
地域の平和に対する最も危険な要因だ」と主張。「(米国は)中国とASEAN諸国との解決の努力を
邪魔している」とも述べた。香港問題については「中国の内政問題であり、内政に干渉しないことが国際関係の
基本的な規範だ」と反発した。

 中国が実効支配を強化する南シナ海をめぐり、トランプ米政権は、中国が軍事拠点化した人工島の周辺で
米艦船を航行させる「航行の自由」作戦を積極的に展開。さらに、人工島の造成に関与した中国企業に
制裁を科すなど圧力を強化し、中国に態度変更を求めている。

 ポンペオ氏は「米国は開放性と包括性、透明性と国際法の尊重といった原則を支持していく」と強調。
「これらの原則はインド太平洋諸国の間で共有されている」と指摘し、価値観を共有する国々が中国の
覇権主義的行動に連携して対処すべきだとの立場を示した。
https://www.sankei.com/world/news/200910/wor2009100012-n1.html