新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、名古屋市で八月上旬の一週間に、
急病人らの搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難」(たらい回し)の事案
が、前年同期の四倍を超える五十三件、起きていたことが分かった。新型コロ
ナの患者を受け入れる県内の病床が逼迫(ひっぱく)しているためで、第一波
を大きく超える現状に市消防局は「瀬戸際の状態」と危機感を募らせている。

総務省消防庁は、医療機関に受け入れが可能かどうか四回以上照会し、搬送先
が三十分以上決まらなかったケースを「救急搬送困難」と定義。コロナ以外の
患者も含んでいる。

市消防局によると、四月は、第二週(六〜十二日)の二十六件(前年同期四件)
をピークに五月初めまで、二十件程度の水準で推移。コロナに対応する医療現
場の人手や物資が不足していたためとみられる。

その後、新型コロナ感染の第一波が収束すると、例年並みに一週間に数件程度
に落ち着いたが、七月に入って再び感染が拡大し始めると、七月の第二週(十
三〜十九日)以降、十件以上が続くようになった。県が独自の緊急事態宣言を
出した八月第一週(三〜九日)に五十件を超え...

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