高山義浩
沖縄県では、29日、新たに44人が新型コロナウイルスに感染していることを確認しました。
ただし、4月の流行と比べれば、無症状の濃厚接触者に対象を広げるなど、検査体制が拡充されています。よって、感染者数を単純に比較することはできません。つまり、過去最多という数字に動じる必要はありません。
本島中南部で、感染経路不明の事例が多発しており、高齢者の感染事例も増えています。市中感染が始まっていることは間違いありません。一方、北部、宮古、八重山では流行しておらず、全県的な流行にまでは至っていません。
ところで、沖縄県の感染拡大について、GOTOキャンペーンとの関連を疑う人がいます。しかし、これまでの疫学情報を見る限り、それは事実ではありません。
観光客や観光従事者からの発生はありますが、市中感染にまでは発展していません。ツアー客での集団感染はありましたが、その周囲には感染拡大していません。多くの場合、早期発見できており、感染を広げない努力がなされています。
何度も言ってきたように、観光再開すればウイルスは持ち込まれます。そのことを前提として、観光事業者は広げないように取り組んでいます。感染経路不明の事例が増えてきていることから、その背景には観光客がいるかもしれません。ただ、決めつけるべきではありません。
むしろ、出張や帰省などによる持ち込み事例が、明確なクラスターを形成しています。前者は職場での集団感染を、後者は家庭での集団感染を引き起こしています。職場での集団感染から家庭内へと移行したケースも複数あります。そして、家庭内でのクラスターが高齢者を巻き込んでいます。
結局のところ、観光客と一般住民との接点はそれほどなく、感染症が持ち込まれることはあっても、観光事業者が自覚して心掛けていれば、集団発生の要因となることは少ないようです。これが現時点までの事実です。
ただ、全国的な流行が認められるなか、このまま沖縄県が観光客を受け入れ続けていれば・・・、どこかで突破されて、市中感染の引き金になる可能性は十分にあるでしょう。今まで大丈夫だったからと言って、本格的な「GOTOキャンペーン」に耐えられるかは分かりません。