3カ月半の間、全国で唯一「感染者ゼロ」だった岩手県。7月29日に陽性が
初めて確認され、感染者の勤め先やネット上には中傷や差別発言が相次いで
いる。県は、感染者への中傷について厳しく対処する姿勢だ。

陽性が確認された盛岡市の40代男性について、男性が勤める県内の企業は29日
夜、HPで従業員の陽性を発表した。男性は発症後に2日間出勤しているが、
内勤のため顧客と接することはなかったという。

その後、この企業には電話が急増し、31日までに約100件あった。通常の問い
合わせなども含むが、中傷も少なくないという。差別的なメールのほか、事業
所に直接来て中傷するケースもあった。担当者は「電話を受ける側も悩んでい
る」と頭を抱える。

【中傷、批判する首長】県外ナンバーに嫌がらせ 「周りが怖い」市長が緊急
会見
「第1号を責めません」 唯一感染者ゼロの岩手県知事
 企業HPには30日夜からアクセスが殺到し、サーバーが一時ダウンした。
ネット上では感染者を特定しようとする動きがあり、社員の写真を無断転載
されるなどの懸念もあるため、企業HPは一時、閲覧停止の対応をとった。
「お客様の不安を考え公表したが、感染した個人や他の社員、その家族にも
不利益が生じている。コロナになったらこうなるんだとわかった。なっては
いけないんだと」

達増拓也知事は31日の会見で、感染者へのバッシングが懸念されることに
ついて、「犯罪にあたる場合もある。厳格に臨む意味で、(中傷に対しては)
鬼になる必要がある」と強調した。被害者支援のため、特定の個人や企業など
をネット上で中傷・差別などしている画面を保存する動きもあると指摘し、
県でも「同様の対応を検討している」と述べた。

https://www.asahi.com/articles/ASN813J27N70ULUC00B.html