トランプ氏再選に大逆風 米、過去最悪のマイナス成長―追加景気対策は難航

【ワシントン、ニューヨーク時事】米経済は2020年4〜6月期に過去最悪のマイナス成長に沈み、新型コロナウイルスが景気に及ぼした衝撃力の大きさを見せつけた。今後は反動でプラス成長が見込まれるものの、感染再拡大がさらに深刻化すれば回復は遠のく。11月の再選をにらむトランプ大統領に厳しい逆風が吹いている。

 ◇感染再拡大で不透明感
 米商務省が発表した4〜6月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で前期比32.9%減と、現行統計を取り始めた1947年以降で最大の下落幅となった。コロナ感染で3月から企業活動が止まり、経済の屋台骨である個人消費が34.6%減と崩れたことが響いた。

 東部ニューヨーク市では6月下旬、経済再開を受けて屋外スペースでの飲食店営業が始まった。だが、客足の戻りは鈍いのが実情だ。南部や西部各州では感染が再拡大しており、テキサス州のレストラン予約状況は前年の約6割まで回復した後、5割を下回る水準に逆戻りした。

 夏場の消費を盛り上げる旅行も低調だ。航空大手は減便を部分的に元に戻す予定だったが、「感染急増で7月の需要は弱まっている」(アメリカン航空)と計画の見直しを迫られるなど、景気の回復ペースは衰えている。

 ◇「V字回復」狙う
 「大統領選直前に素晴らしい数字が出る」。民主党のバイデン前副大統領に対し支持率で劣勢に立たされているトランプ氏は、11月3日の投票日直前に発表される7〜9月期のGDPで「V字回復」をアピールすることをもくろむ。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「景気回復の道筋は感染動向に著しく左右される」と冷ややかだ。

 トランプ氏にとって頼みの綱となるのは議会与野党が協議を続ける追加経済対策。景気浮揚に即効性がある現金給付第2弾が実現できれば、7〜9月期の成長率を押し上げる推進力になり得る。

 だが、与野党は7月末に終わる失業給付の上乗せ制度の代替措置などをめぐり対立。減少をたどっていた失業保険申請件数はここに来て2週間連続で増加した。雇用の改善が遅れれば一段と景気を冷やしかねず、トランプ氏が描く勝利の楽観シナリオが崩壊する可能性が高まる。(2020/07/31-20:36)

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