開発関係者をピンポイントで狙い撃ち

 最近、日本の情報機関は政府にこんな事例を報告した。

――ある製薬関連企業に、東アジア系の2人組の男が強引にアポを取って来訪し、出資を持ち掛けてきた。
彼らは出資と引き換えに、彼らが経営する企業から役員を入れることを要求した――。

 一見、投資会社によるありきたりな営業活動と思える。

 だが、この製薬関連企業は、目下、新型コロナウイルスの治療薬候補を用いた臨床試験を医療機関と
共同で進めている真っ最中だったのである。

 同じころ、その製薬関連企業以外にも、投資をもちかける不審な連絡が相次いでいた。

 しかも、投資を持ち掛けてきた人々は、新型コロナウイルス関連の研究開発やマネジメントに携わる人々の所属や氏名などを詳細に把握しており、
明らかにピンポイントで狙ってきた様子だったという。

 さらには、複数の製薬メーカーや関連省庁の新型コロナウイルス担当者を特定したうえで送信したと思われる不審な電子メールも、多数報告されている。