在日コリアン柔道家、選んだ韓国代表の道 「自分は何者か」問い続けた先に

 柔道着に縫い付けられた「安」の文字に、気恥ずかしさを覚えた。
小学生の時、試合会場で目にするのは「山田」や「田中」といった名前ばかり。「なんで俺だけ。
なんで日本人に生まれてこんかったんやろう」。かすかな記憶がこびりついている。


 在日コリアン3世の柔道家、安昌林(アンチャンリン)(25)。京都市南区東九条で育ち、
地元道場に通った。筑波大で学生日本一に輝くも、外国籍のため出場できる大会は限られた。
日本国籍の取得を勧められたが「祖父母が守ってきた国籍を自分の思いで変えられない」。
20歳を前に、ルーツである韓国代表として戦うことを決意し、韓国柔道の名門・龍仁大に編入。
世界選手権で優勝するなどエースにのし上がり、東京五輪では73キロ級で2連覇を狙う大野将平のライバルと目される。
 韓国の内陸部、山深い忠清北道鎮川に「選手村」はある。各競技の精鋭が集まるナショナル
トレーニングセンターが、安の拠点だ。冬季は氷点下の寒さになる日もある。一日3回の練習。
日本より重視される体力トレーニングで鍛え抜き、けがとも戦いながら韓国で5度目の冬を迎えている。
 日本生まれの在日コリアンで韓国代表−。幼い頃から安は「自分は何者か」という問いを突きつけられてきた。

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