「三峡ダムで脆弱性が見えてきた中国、世界はどう向き合うべき」仏歴史学者が提言
https://news.yahoo.co.jp/articles/24e37d65b372773caaf8abe661b8b06f73c280b5

中国中部湖北省宜昌の長江流域にある三峡ダムの決壊が懸念されている。ナイル川、アマゾン川に次ぐ世界第三位の長さをほこる長江の流域には中国の人口の3分の1にあたる4億人が生活しており、ダムが決壊することになれば住民の被害も甚大となる恐れがある。

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世界第二の経済大国でありながら国内にさまざまな問題を抱える中国と、今後、諸外国はどのように向き合っていくべきなのか、フランスの歴史家エドゥアール・ユッソンが仏オンラインメディア「アトランティコ」のインタビューに答え、提言をおこなった。

中国メディアが報じないセンシティブな問題
長江中腹の島にある1345年建立の寺院(7月19日)Photo: Feature China / Barcroft Media / Getty Images

中国で降り続く豪雨被害と三峡ダムの問題はフランスでも詳しく報じられている。

仏紙「フィガロ」は7月20日、「AFP」通信の配信記事をもとに「中国中部と東部は6月から降り続く豪雨と洪水で、公式の総計によれば少なくとも140人の死者・行方不明者を出す被害を受けている」と、豪雨と洪水の被害を伝えた。

同紙は7月13日にも「AFP」通信の配信記事をもとに今年の豪雨では「2万8000軒の住宅と3800万人の住民が程度の差こそあれ、被害を受けた」と被害の状況を報じている。

同紙によれば「中国では夏に洪水が起こるのはめずらしくない。とくに、いくつもの地方を横断して流れる長江流域では、よく洪水が起こっている。」だが、今回は習近平首席自らが地元当局と軍への出動を要請したことから、事態の深刻さがみてとれるという。

「増大する懸念を象徴するように、習近平主席は12日の日曜日、地元当局と軍に対し、被害を受けた住民の救助と住宅の提供のための出動を要請した。政府広報によれば、中国は“洪水の制御がきわめて重要となる時期に入った”と習近平主席は強調した。そして、“共産党の全委員会と関係当局はすべてのレベルで、各自の使命に勇猛に邁進しなければならない”と述べた」

「ル・モンド」紙は6月25日に豪雨と洪水の被害を報じる記事の中で「中国メディアがこの災害を最小限にしか報道しない事実は、この問題がセンシティブであることを示している」と指摘した。