〈学生支援緊急給付金問題〉合理的理由ない差別、ただちに是正を/愛知県弁護士会が声明

新型コロナ関連支援策として日本政府が創設した学生支援緊急給付金と関連し13日、愛知県弁護士会は、困窮学生への平等な給付を求める会長声明を発表した。

https://www.chosonsinbo.com/jp/2020/07/hj200714-1/

内閣は、2020年5月19日、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、世帯収入、アルバイト収入等が激減し、経済的困窮に陥った学生に対し、「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」(以下「本給付金」という。)を創設することを閣議決定した。
本給付金は、経済的に困窮し学業継続に困難をきたしている学生を救済し、教育を受ける権利を保障するための措置として是非とも必要なものである。

しかしながら、以下のとおり、本給付金の制度には、憲法14条、人種差別撤廃条約5条(e)(D)及び社会権規約2条2項、13条1項・2項(c)に違反する合理的理由のない差別が生じており、是正すべきである。
<中略>
すなわち、本給付金は、創設当時、国公私立大学(大学院含む)・短大・高専・日本語教育機関を含む専門学校に在学する学生のみを給付金の対象としたため、各種学校である朝鮮大学校及び外国大学日本校は、大学同様の高等教育機関であるにもかかわらず、対象外とされていた。
この点、報道によれば、政府は、市民団体の指摘により、外国大学日本校8校については新たに給付金の対象に含めることとしたが、朝鮮大学校は未だに対象外とされたままである。

しかし、朝鮮大学校については、1998年に京都大学が朝鮮大学校卒業生の大学院受験を認め合格したことを契機として、1999年8月、文部科学省が学校教育法施行規則を改正して大学院入学資格を拡充し、外国大学日本校とともにその卒業生に大学院入学資格を認めており(学校教育法102条1項・同施行規則155条1項8号・学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行等について(平成11年8月31日文高大第320号)第一の二)、
また、2012年には社会福祉士及び介護福祉士法施行規則が改正され、朝鮮大学校卒業生にも受験資格が認められる(社会福祉士及び介護福祉士法7条3号・同施行規則1条の3第3項3号)など、朝鮮大学校を日本の高等教育機関として認める法制度が存在している。
朝鮮大学校の学生も他の高等教育機関に在籍する学生と同様に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済的に困窮しているという事情に変わりはないから、支援の対象外とすることに合理的理由はない。

よって、当会は、文部科学省に対し、本給付金について、以上の差別を直ちに是正し、困窮学生に平等に給付するよう求める。

https://www.aiben.jp/opinion-statement/news/2020/07/post-40.html