【ロンドン=中島裕介】中国の劉暁明・駐英大使は6日の記者会見で、「香港国家安全維持法」の制定を受けて英政府が香港住民の英国移住の権利を拡充することについて「重大な中国への内政干渉だ」と批判した。同法へのジョンソン政権の反応に触れ「無責任な言及が多い」と指摘し、中国に返還された香港に関して「英国に主権や監督権はない」と訴えた。

旧宗主国である英国は中国が香港国家安全法を施行した直後の1日、英国海外市民(BNO)旅券を持つ香港住民を対象に、現行6カ月としている英国での滞在期限を事実上、撤廃する方針を発表した。ジョンソン政権は同法を「香港の高度の自治を侵害する」と批判し、香港を脱出したい人を積極的に受け入れる姿勢を示している。

記者会見で劉氏は、同法が香港の高度の自治や一国二制度を害するとの批判に対して「絶対に違う」と主張し、逆に一国二制度を「実行するための重要な布石だ」と述べた。民主派などによる抗議活動が香港に混乱を及ぼしていると指摘し「国家の安全を守ることが香港の繁栄の前提になる」と法の正当性を訴えた。

劉氏は香港住民の権利と自由は保護されると繰り返し強調し、「法の対象となる罪は極めて狭い範囲だ」と理解を求めた。

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