https://withnews.jp/article/f0181119003qq000000000000000G00110101qq000018372A?_gl=1*4jwzq0*_ga*b0VPV1F5LUs3YUVnbWZ5bExOLV92SlNVU29jdl9ZUkI0d2J6TDdfV3pVOFJtMDNHUDZtaEwtUDBGVlBjaEZUMw..

鹿児島市から飛行機で南に1時間ほどの沖永良部島は、花の島だ。

沖永良部島の花栽培農家は、白いエラブユリや菊、黄色いソリダゴやトルコキキョウ、グラジオラスなどを首都圏や関西に出荷している。

かつて「農業ボランティア」などで、島外からも多くの働き手が集まった。繁忙期には島の高校生や高齢者をパートで雇うこともあった。

 人が集まらなくなったのは10年ほど前からだ。

 彼女の農家でこれまで受け入れた30人の実習生のうち、5人が失踪し、1人が逃亡未遂。隣の花農家では、約15年間で受け入れた約100人のうち10人以上が逃げたという。

日本全国で25万人の実習生がいて、昨年1年で約6000人、今年は半年で4278人が逃げたという統計がある。この島ではそれが実感できる。

「いつも『誰がいつ逃げるかなー』って思っちゃう。もう人間不信」

彼女は少し笑った。

 「逃げる気持ちは分かる。日本の子だって無理なんだから。もし都会より高い時給だったとしても、休日の遊び方も全然違う。
島だと車がないとどこにも行けなくて、携帯いじるぐらいしかすることがない。よほど島が好きじゃないと、日本語を勉強する意欲も湧かないと思う」

別の農家の男性は 「そりゃあの子たちも、お金のいいところに行きたいだろう」と、外国から来た若者たちへの同情を示しつつ、
「時給を上げれば人が来るかって? 時給千円にしたら経営が成り立たないし、そんな仕事があれば自分が雇われたい」と言った。


「だからこそ、新しい制度では逃亡をもっと厳しい罰則にしてほしい。実習生も、逃げ通せば、稼げるんだよね? 
それでまた、逃げた実習生を働かせて、もうけている人がいるんでしょ。これじゃ、永良部は日本への入り口ってことで利用されてるだけだ」