日本のシェア9割超え

 次に半導体製造用レジストを見てみよう。レジストは、半導体の表面に画像層のパターンを形成することに使用される。
2018年の輸入額に占める輸入元のシェアは、日本が93.2%と大半を占めており、続くアメリカは5.8%、ベルギーは
0.8%であった。2019年は、日本のシェアが88.3%と、2018年と比較して若干下がったものの圧倒的なシェアを
占めていることには変わりがない。

 さらに2020年1〜5月も日本のシェアが88.6%、これに続くベルギーが5.8%、アメリカが5.3%と、日本からの
輸入が多くを占めている。輸出管理適正化に関する措置前後の動きをまとめると、日本のシェアはわずかながら
低下したものの、依然として9割に近いきわめて高いシェアを維持していることがわかる。

 最後はフッ化ポリイミドである。フッ化ポリイミドは有機ELの材料として使われる。2018年の輸入額に占める
輸入元のシェアは、日本が84.5%と高く、台湾が7.4%、中国が2.8%であった。2019年は日本のシェアが93.0%となり、
2020年1〜5月には93.9%にまで高まった。一方、台湾の2020年1〜5月のシェアは4.2%、中国は1.0%にとどまっている。

 輸出管理適正化に関する措置前後の動きをまとめると、措置後に日本のシェアは10%ポイントほど高まっており、
現在では9割を超える圧倒的なシェアを有していることがわかる。

 輸出管理適正化に関する措置によって個別許可に切り替えられた3品目の動きを見てきたが、フッ化水素については
元々中国のシェアが日本を上回っていたが、措置後は中国依存が進み、日本からの依存脱却が進んだように見える。
ただし報道によれば、韓国は中国を介して日本のフッ化水素を輸入している動きもあり、供給元をたどれば日本依存から
脱却できたのかについては検証が必要であろう。

 レジストは措置後も日本が9割近いシェアを有している。そして、フッ化ポリイミドにいたっては、措置後に日本の
シェアが拡大し9割を超えるなど、日本依存からの脱却にはほど遠い状況である。つまりフッ化水素は少なくとも
数字の上では日本依存からの脱却が進んだが、レジストやフッ化ポリイミドは日本依存からの脱却はまったく進んでいないといえる。