迎えた今回の参議院選挙。
岸田派の最高顧問でもある溝手顕正が改選となった。
防災担当大臣などを歴任している大ベテランだけに、6期目を目指して早々に公認が決まっていた。

力量問われる岸田

戦いが熱を帯びる中、安倍総理大臣が広島入りするとの情報が入った。
河井陣営だけを応援するのか。溝手陣営の応援にも立つのか。注目が集まった。

当日。広島市の繁華街。
数百メートル隔てた2つの場所で、時間を30分ずらして別々に行われた両陣営の演説会。
安倍総理大臣は、溝手陣営の演説会場にも出向き、溝手氏への支持を呼びかけた。

胸をなで下ろした溝手陣営。しかし、ショックな出来事が待ち構えていた。
河井陣営の演説会場。

そこには安倍総理大臣とともに河井の応援マイクを持つ岸田の姿があったのだ。

「河井案里さんに力を貸して欲しい」岸田が訴えた。
安倍総理大臣は演説で、岸田をこう持ち上げた。
「令和の時代のリーダ−は岸田文雄さんだ」
その横で、岸田は、相好を崩した。

岸田が河井陣営の応援に立ったのは、安倍総理大臣に溝手の応援に立ってもらうための引き換えだったとされる。
しかし、敵陣の候補を表だって応援した岸田に、県連関係者からは怒りや戸惑いの声が上がった。

「複雑な立場なのはわかるが、はしごを外された気分じゃ」
「リーダーとしてあってはならん」
取材していた私たちが、「これで溝手票が完全に崩れる」と感じた瞬間でもあった。

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/20374.html