(違法収集証拠)排除法則が、日本の最高裁判例 で採用されたのは、昭和53年(1978年)からのことである。
それまでの判例は、押収物は押収手続が違法であったとしても物自体の性質、形状に変異を来すはずがないから
その形状等に関する証拠たる価値に変わりはないというものであった (最判昭和24・12・13[1])。

しかし、学説上は、アメリカ法の影響を受け、少なくとも収集手続に重大な違法がある証拠の
証拠能力は否定すべきとする見解が有力になっていた。また最高裁昭和36年6月7日大法廷判決では、
15人中6名の裁判官が反対意見として、理論的に違法収集証拠排除法則を認めた。下級審においても、
違法収集証拠排除法則を肯定する裁判例が増えてきていた。
このような状況の下、最高裁は昭和53年9月7日第一小法廷判決において、排除法則を理論的に認めた。