<FBIと連邦機関が調査に乗り出した矢先、4人目の遺体が発見された>

人種差別に抗議するデモが広がるアメリカで、黒人男性の遺体が木から吊り下げられた状態で発見される事件が相次いでいる。
5月31日以降、少なくとも4人の遺体が発見され、捜査当局はいずれも自殺との見方を示したが、拙速な判断に怒りの声が上がっている。

6月16日、テキサス州ヒューストンの北に位置するスプリングで、
10代と見られる身元不明の黒人男性の遺体が小学校の駐車場で吊り下げられた状態で発見されたと、
同州ハリス郡保安官事務所が発表した。同様の遺体が発見されたのは5月末以降、これで4件目だ。

折しもアメリカでは、コロナ禍のさなかにもかかわらず、
5月25日にミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官に首を押さえ付けられて死亡した事件をきっかけに、
「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事)」運動が大きなうねりとなって広がっている。

この国にはかつて南部を中心に、黒人を木に吊るして集団リンチで殺す凄惨なテロがはびこった歴史がある。
最近起きた4件の事件も、抗議デモの広がりにいらだつ過激な人種差別主義者の嫌がらせではないかとの見方もある。

そうした見方を打ち消すかのように、4件とも捜査当局は早々に自殺との判断を示した。

「監視カメラの映像や目撃者の証言などから、今の段階では、男性は首吊り自殺をしたと見られる」と、
ハリス郡保安官事務所は16日に発見された遺体についてツイッターで発表した。
「事件性を疑わせるような形跡は今のところ全く見つかっていない」




木に吊るされた黒人男性の遺体、4件目──苦しい自殺説
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/4-114.php