政府の緊急経済対策の柱となる事業で、手続き業務全体が769億円で民間団体に委託されていたことがわかった。
この団体は業務の大部分を、大手広告会社の電通に749億円で再委託していた。
経産省や団体、電通は詳しい経緯や金額の根拠などについて公表していない。

事業をめぐってはコールセンターがつながりにくいなど問題が相次ぐ。
巨額の費用をかけて民間委託していたことの是非が問われそうだ。

■769億円で受託→749億円で電通に

 問題となった事業は、中小企業向けに最大200万円を支払う経済産業省の「持続化給付金」だ。
経産省中小企業庁によると、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に、
給付金の手続きやコールセンター事業などをまとめて委託した。

 この協議会は2016年に、電通や人材派遣大手のパソナ、ITサービス業のトランスコスモスなどがかかわって設立された。
これまでに今回を含め、経産省の「サービス等生産性向上IT導入支援事業」など14事業の手続き業務などを受託している。

 経産省は持続化給付金を150万社へ支払うことを想定し4月の第1次補正予算で2兆3176億円を計上。
コールセンターや全国約400カ所に開く申請サポート会場の運営などを含め、業務をまとめて協議会へ769億円で委託した。

 経産省によると、協議会は委託費の97%にあたる749億円で業務の大部分を電通に再委託した。
経産省や協議会、電通は委託費の根拠や差額の20億円の合理性などについて明らかにしていない。

https://www.asahi.com/articles/ASN5Y6R35N5YULFA00P.html