琉球大学理学部の久保田康裕教授と国立環境研究所の研究チームは、国内各地で行われた生態調査などを集積した「生物多様性ビッグデータ」とデータ科学的手法を用い、国内に生えている1200種以上の樹木の個体数や地理的分布を推定することに成功した。
全国を10キロ平方メートルのグリッド(網目)に分け、種ごとに推定した。推定結果から、国内の自然林には210億本の樹木が生えていて、数億本ある種もあれば、数百本しかない種もあることが分かった。

研究チームによると、これほど広域的で網羅的に樹木の個体数の地理分布が明らかになったのは初めてで、生物多様性保全政策の立案や実行につながることが期待される。
研究成果は科学総合誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に掲載された。

研究結果の分析から、種の多様性の源となる種分化の主な様式や速度(種分化率)を推計したところ、南西諸島は本州や四国、九州と比べ、100倍ほど種分化が起こりやすいことが明らかになった。

絶滅の恐れがある種のリスト「レッドリスト」に掲載されていない種でも、レッドリストの危機ランクの高い種と同程度に個体数が少ない種があることも判明した。県内でもこのような種が20種近く見つかっているという。
研究チームは「生物種の分布や多様性、生態系機能などに関する広範な学術研究の基盤となることが期待できる」と説明した。

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