さらに、無視できないのが徴兵制だ。今回の
コロナ対応に韓国政府は社会服務要員、軍人、
公衆保健医という兵役義務を担う「若い男性」
たちを動員した。社会服務要員とは軍役の代
わりに居住地近隣の政府機関や公共施設で仕
事をする人たちだが、彼らは薬局の人手不足
を補うために投入され、軍人はマスク工場で
の包装や運搬作業のために動員された。

また、兵役の代わりに離島や山間地で医療
活動を行う公保医たちは、コロナ感染被害が
当初最も深刻な状況にあった大邱や慶尚北道
地域に宿泊所も手配されていない状態で派遣
された。1000人以上の公保医が劣悪な条件下
で、だが最前線で奮闘していた。
国家の命令による拒否できない動員が、韓国
の「迅速な」対応を下支えしていたのだ。

最近の日本では、韓国の明るい部分だけに
注目する人たちはむやみに韓国を称賛し、
逆に暗い部分に注目する人たちは存在の全て
を悪と断じて否定するという両極端に走る傾
向があるように思う。だが、どんな事象にも
表と裏は確かに存在する。

日本人にとってベストな選択は韓国のように
対応することではなく、その裏に見えるもの
も冷静に観察することではないだろうか?
〜終わり
https://www.newsweekjapan.jp/che/2020/05/post-4.php