https://video.twimg.com/ext_tw_video/1225461545074741248/pu/vid/1280x720/YSsnOnub-_H7ttxU.mp4

https://youtu.be/NR7M1nNt84U


MM-88


MMはMartian Murderer(マーシアン・マーダラー、「火星の殺人者」の意)の頭文字、88は継代改良した88代目の菌種を意味する。
アメリカの人工衛星が宇宙空間から持ち帰った微生物をもとに、フォート・デトリック(メリーランド州フレデリックにある陸軍感染症医学研究所の通称)で生物兵器として使える可能性が研究されていた。
その原種「RU-308」がイギリスへ持ち出され、ポーツマス近郊の英国細菌戦研究所にてグレゴール・カールスキィ教授が改良を行った。

絶対低温・絶対真空の宇宙空間に存在していたMM-88は、地球上の環境では強烈な増殖率を持つ。摂氏マイナス10度前後から萌芽状態にもかかわらず増殖し、マイナス3度以上で100倍以上、摂氏5度以上で毒性を持ち始めるが、
その段階の増殖率は、マイナス10度段階の20億倍。増殖率・感染率・致死率が高すぎるため、弱毒化したうえでの実用化を目指していたが、MM-88はレガシーのMM-87比で2000倍の毒性を獲得していた。
MM-88は増殖・感染する核酸のみの存在[註 5]で、ブドウ球菌に似た特定の球菌を媒介としてインフルエンザウイルスを含むミクソウイルス群に寄生し、宿主となるウイルスの増殖力・感染力を殺人的に増加することで、大規模な蔓延を引き起こす。
体内に侵入すると神経細胞の染色体に取り付き、変異を起こした神経細胞は神経伝達物質の生成と伝達を阻害され、感染者は急性心筋梗塞のような発作を起こして死亡するか、急性全身マヒに陥って死亡する。
発熱・咳・頭痛・関節の痛みといった諸症状から、世間では新型インフルエンザ「チベット風邪」の大流行と思われていた。
しかし、細菌でもウイルスでもないMM-88にはワクチンも抗生物質も効果がなく、ウイルスに寄生するメカニズム、増殖・感染する核酸という理論すら知られないまま、防疫体制は崩壊する。
フォート・デトリックでRU-300系列を研究していたマイヤー博士は、世界をMM-88の惨禍が襲う中でその正体がRU-308であることに気づいたが、世界の破滅を食い止めることはできなかった。