代わって台頭したのが、「ウヨ」である。インターネットの普及で、右翼(保守)っぽい言論の発散の場が飛躍的に拡大した。「ネトウヨ」の誕生だ。出版不況の慢性化に伴って、ネットの世界で人気のある著者が本を出せる時代が到来した。

 それは決して悪いことではないし、少しでも保守色があれば普通の出版社から本が出せない時代が去ったのは、喜ばしい。言論とは左右のイデオロギーではなく、質の高さで評価されるべきだからだ。表現の自由と健全な市場が無ければ、健全な言論は無い。

 だが、あまりにも長すぎたリベラル全盛時代の反動で、「保守っぽいことを言っていれば、何をやっても許される」という文化が、出版界に定着し始め、それをネトウヨどもが支えている。
一言、「日本は素晴らしい国です」「私は愛国者です」と言えば、嘘やデタラメを言おうが、何をやっても許される文化がだ。プロの水準に達していない著者の本が、世に流れることとなった。

 保守の著者を招く講演会に、「日本は悪い国だと教えられてきたので、本当のことが知りたくて勉強しに来た」女性が来たとする。著者も常連の客も、大はしゃぎである。
そして嬉々として、「SMAPの正体は在日韓国人」などと、相手に相槌を打たせる間もなくまくしたてる。結構な出版社から本を出している著者がこの始末である。
それを支えるファンのネトウヨに至っては、既にSMAPが解散していることを知りもしない。それでいて、「テレビに真実は無い。本当のことはネットで検索すればわかる」と真顔で語る。

 ついでに言うと、保守論壇村では、彼らが保守と信じる人であり続ければ、強姦・DV・痴漢・横領・ネットワークビジネス、なんでも庇ってくれる。
嘘だと思うなら、保守を標榜する月刊誌の執筆者を見よ。まるでサファリパークか刑務所だ。

 こうした連中を増長させているのが、長すぎた安倍内閣だ。私は今の政治に何も期待などしないが、監視しなければ、より悪くなる一方だ。


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