COP25、CO2排出量首位の中国をスルーで日本叩きの「謎」 「日本だけ非難されるのはおかしい」の声
2019.12.13

 国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)では、二酸化炭素(CO2)を多く排出するとされる石炭火力発電を続ける日本への風当たりが強かった。ただ、CO2排出量で世界首位の中国がスルーされ、「日本だけ非難されるのはおかしい」との指摘もある。日本は石炭火力発電で世界最高水準の技術を持っており、「技術輸出で環境に貢献すべきだ」との声も挙がる。

 地球温暖化問題では、「飛行機を使わない少女」ことスウェーデンのグレタ・トゥンベリさん(16)が有名になったが、COP25ではドイツから8歳のゾゾさん(8)も登場するなどイメージ戦略も盛んだ。

 COP25では、小泉進次郎環境相が11日の演説で、日本の石炭政策に関し、「世界的な批判は認識している。今以上の行動が必要だ」と述べた。だが、「脱石炭」を表明しなかったとして、「化石賞」なる賞を受賞したと日本のメディアがこぞって報じた。この賞は環境団体がほぼ毎日、勝手に発表しているものだ。

 ■石井孝明氏「技術輸出で環境問題に貢献を」

 完全に悪者扱いの石炭火力発電だが、エネルギー問題に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は「日本では原子力発電所の再稼働が進んでいないことから、稼働しやすく安価で持続性もある石炭火力に依存している」と指摘する。

 日本の2017年度の電源構成は、石炭が32・7%で、天然ガス(LNG)の39・5%に続いて大きいシェアだ。石油等8・7%、水力5・2%、太陽光5・2%などを大きく引き離す。

 「現状で石炭をゼロにすれば、電気代の1〜2割の値上がりも予想され、家計や企業に影響が出る」と石井氏。地震や台風などの災害で停電に見舞われた地域も多く、電力の安定供給が命に関わることは日本人の身にしみている。

 一般にCO2の排出量は、石炭を100とすると、石油で80、LNGで60程度とされる。

 ただ、日本はクリーンな石炭火力発電で世界に誇る技術を持つ。国際協力機構(JICA)は昨年、「世界中の石炭火力発電所を日本のものに置き換えた場合、CO2の排出量を大幅に削減できる」とアピールした。

 電源開発(Jパワー)が運営する石炭火力発電所は、発電効率で世界最高水準で、「燃費が上がることで石炭使用量が少なくなり、結果的にCO2の排出量が低くなる」(広報室)とする。

 同社では次世代の低炭素技術として、石炭を可燃性ガスに転換して燃やす発電方式や、CO2を回収し、地下に蓄える技術の研究開発を進めている。実用化された場合、「CO2排出量はガス化でLNG並み、回収・貯蓄技術できわめてゼロに近い数字を想定できる」(同)という。

(続く