都会の人はなんて歩くのが速いのだろう。大股で追い越していく。腰の曲がったつえ頼りの年寄りやリュックを背負った幼児にも追い越された

▼私たちも普段よりは速く歩いているつもりでも、先頭を行く娘に遅れないよう見失わないよう、後についていくのが精いっぱい。
都会の歩行の流れには到底乗りきれない

▼運の悪いことに空港から宿までの移動は勤め人の帰宅時間帯、乗り換えのたびの混雑ぶりに難渋した。
駅でホームを探すのに右へ左へ歩き回り、数え切れないいくつもの階段の上り下りで息切れ。
エスカレーターで一息ついていると「左側に寄れ」の声。慌てて寄ったら駆け足で右側を追い越していく

▼駅構内で歩き疲れ、腰掛けたくても最近のホームはいすが少なく、壁に寄りかかるしか術(すべ)がない。
数分刻みで発着する電車のシルバー座席も最近では若い人が座り込んで空き無し

▼大きな荷物を抱えてよたついている私たちの一部始終を見ていた目の前の女性客が「どうぞ」と席を譲ってくれた。
ありがとうございますと応じたものの、相手を見て恐縮

▼娘は「電車で年寄りを見かけたら席を譲りなさいと言っている割には、自分よりも年上の人に席を譲られて平気な神経は理解できない」。
家人も「年寄りには島の暮らしがいい、早く帰ろうよ」。(仲間清隆)

http://www.y-mainichi.co.jp/news/35906/