焼失した首里城を再建するため、玉城デニー知事は7日、知事直轄の新部署や関係課長で組織するワーキングチームの設置を発表した。
県が再建へ前のめりになっているように見えるほどのスピード感だ。

八重山住民の立場からすると、離島振興にも同じくらいの熱意を持って取り組んでほしい気もするが、首里城再建が県政の重要課題であることは間違いない。首里城は沖縄の観光振興のためにも必要な施設であり、ぜひ早期の再建に向けた歩みを進めてほしい。

ただ、再建に当たっては留意してほしいこともある。
せっかく再建に取り組むからには、焼失前の首里城の単純な復元に終わらせず、最新の考古学的知見と建築技術を駆使し、よりグレードアップした施設を目指してほしい。

首里城は幾度も焼失と再建を繰り返しているが、戦後に再建された首里城は、戦前に存在したものとは異なった姿だったとの指摘がある。

例えば、焼失前の首里城正殿には鮮やかな赤瓦が使われていた。
しかし石垣市の元教育長で、県教育庁勤務時代に首里城跡の史跡発掘などに携わった玉津博克氏によると、戦前の正殿跡から出土した瓦は、ほとんどが黒瓦だった。
釉薬を使い、赤瓦をあえて黒色に焼いたものも見つかったという。

玉津氏は、戦前の首里城正殿は主に黒瓦を使用しており、戦後の正殿の姿は必ずしも史実には忠実でなかったとの見方を示す。
赤瓦の使用決定に当たって、観光施設としての見た目の美しさが優先されたのかどうかは定かでない。
ただ玉津氏は「現代の工法で首里城を再建するにしても、外観は琉球王国当時の面影をしのばせる建物であってほしい」と求める。
正殿のほか城壁なども含め、蓄積された経験や研究成果を踏まえれば、従来よりさらに史実に近づけた復元が可能なはずだという。

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