ミラーレスカメラの伸びが想定以下に
さらにキヤノンを苦しめているのが、ミラーレスカメラの販売台数が当初の想定よりも伸びていないことだ。キヤノンがこれまで強みとしてきた
一眼レフカメラと異なり、ミラーレスカメラには本体内部にレンズがとらえた光をファインダーに反射させる「ミラー」がない。そのため、
一眼レフよりも小型化・軽量化が可能となり、消費者の支持を集めている。
カメラ市場全体が縮小している中でもミラーレス市場は成長を続けている。2018年の世界出荷台数は一眼レフが前年比約16%減の
622万台と減少傾向にあるのに対し、ミラーレスは同約3%増の428万台と増加を保っている(テクノ・システム・リサーチ調べ)。

2018年9月、「EOS R」発表会見でキヤノンマーケティングの真栄田雅也社長(撮影:尾形文繁)
キヤノンは2018年9月、高級機種であるフルサイズミラーレスとして「EOS R」シリーズを発表。従来は入門機のみでしか扱っていなかった
ミラーレスに本腰を入れ始め、「ミラーレスカメラでもシェアナンバー1を奪うのは当たり前」(キヤノン開発部門幹部)と意気込んでいた。
しかし、キヤノンに立ちはだかったのがソニーだ。ソニーは2013年にフルサイズミラーレスを発売。2018年のミラーレスのシェアは42.5%と
圧倒的強さを誇っている(テクノ・システム・リサーチ調べ)。キヤノンにミラーレスカメラ部品を供給している部品メーカーの
幹部は「フルサイズミラーレスが投入されて(キヤノンの)売り上げが増えると思ったが、当初の計画にまったく及ばない水準で推移しており、
経営計画を変更するしかない」と明かす。

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