台風19号で地下部分が浸水した川崎市市民ミュージアム(同市中原区)で、地下にある所蔵品を収めた九つの収蔵庫すべてが浸水被害を受けていたことが明らかになった。

 18日、市が会見で発表した。

 同ミュージアムでは13日朝からポンプ車で排水が行われていたが、人が歩ける程度にまで水が引いた18日昼前から、順次収蔵庫内部の確認作業を行った。九つの収蔵庫全てに浸水が認められ、内部の物が散乱している状態だったという。詳しい被害状況はわかっていない。

 市によると、地下の中央監視室には4人のスタッフがいたが、12日午後7時半に浸水が始まったという連絡があったという。収蔵庫の廊下につながる防火扉の前に土囊(どのう)を積むなどの作業を行ったが、浸水がひどくなったため、午後8時半ごろまでに避難したという。

 同館は1988年に開館。国内の美術館では珍しい漫画や写真、映像などの近代メディアの資料など約26万点を所蔵している。

 この日、内部を確認した市の担当者は、「昼前までは収蔵庫は無事なのではという希望があった」とし、「浸水が確認され、落胆の声があがった。貴重な資料を寄贈、寄託して下さった方には申しわけない」と肩を落とした。古文書や絵画、浮世絵など水に弱い所蔵品が浸水によって被害を受けている可能性は「否定できない」とし、今後は、国などの支援を受けながら被災した収蔵品の調査を進めるという。(斎藤博美)

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