「韓国左派は湖南地方(韓国西南部)と嶺南地方(韓国東南部)を中心とする2つのグループに分けられる。
湖南地方のルーツは金大中元大統領で、前の大統領秘書室長だった
任鍾皙(イム・ジョンソク) に連なり、北朝鮮の金正日主体思想派ともいえる。一方、
嶺南地方は金泳三元大統領、盧武鉉元大統領、
文大統領、チョ氏の系譜で、南北統一し、朝鮮半島を社会主義国家にしたい。北朝鮮からすれば、
同じ親北でも湖南左派を信頼している」(高氏)

キーパーソンといえるのが任氏。大統領府のナンバー2で、対北朝鮮交渉を一手に担い
“陰の大統領”とも呼ばれ、次期大統領候補にも名前が挙がっていた。ところが、今年1月に大統領秘書室長を退任。
韓国内では文大統領と衝突したことによる左遷説、次期大統領レースに備えての辞任説、
チョ氏を重用したことへの反発説などと臆測が飛んでいた。

「理由がよくわからないまま、任氏は秘書室長を退任し、チョ氏が次期大統領候補に押し上げられた。
北朝鮮が指示を出していたのは、任氏だったのは間違いない。現在の文政権に反対する動きやチョ氏への捜査も
任氏が尹検事総長に情報を流しているのではないかともいわれています」(高氏)

文大統領は国連総会の演説で北朝鮮の「体制の安全」を保障するよう訴えたが、
金正恩朝鮮労働党委員長が文政権に辛辣な姿勢を見せ続けている事情も納得できる。

韓国内で左派同士でも路線の違いで“内ゲバ”を繰り広げているともいえる。チョ氏はもちろん、
文大統領にまで捜査の手が伸びれば、韓国政局はますます混乱を極めることになる。