【上海=浅井正智】中国教育省は、小中高校生に観賞を勧める映画の一つに、今年爆発的にヒットした「流浪地球」を
選んだ。自己犠牲をいとわない中国人宇宙飛行士が地球の危機を救うストーリーで、中国人の自尊心をくすぐるのに
十分。むき出しの大国主義を抑え、SF仕立ての洗練された内容で、国威発揚映画も変化しつつあるようだ。

 推奨映画は教育省と共産党中央宣伝部が毎年、「優秀」と太鼓判を押した十作品余りを選定。中国では映画は
教育・宣伝の役割を担い、国策を反映した「主旋律映画」と呼ばれるジャンルもある。昨年、推奨映画に選ばれた
「すごいぞ、わが国」は、軍事や宇宙、科学技術で世界一を目指す内容で、典型的な「主旋律映画」だった。

 「流浪地球」は、太陽の終末時期が明らかになり、地球に強力な噴射装置をつけて太陽系を離脱、新たな
恒星探しの旅に出る物語。中国初の本格的なSF映画という触れ込みで、中国映画としては史上三位の
四十六億元(約七百億円)の興行収入を稼ぎ出した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201909/CK2019092002000326.html