安倍首相、黒田東彦日銀総裁、御用学者たちからなるチーム・アホノミクスはMMTを「異端だ」と切り捨て、
必死になって否定しています。なぜだか分かりますか。シムズ理論はインフレが起こる可能性を含めた理論なので、
「インフレ率2%」を公約に掲げるチーム・アホノミクスは自らを正当化する道具として使えました。
それなのに「財政支出ではインフレは起こらない」というMMTの主張に与するわけにはいかない。
これが理由その一です。

もう一つの理由は、かなり屈折したものですが、私は実はこっちが本質ではないかと考えています。
それというのも、チーム・アホノミクスは内心は「国家の権力は絶対」という前提で物事を進めたい。
その意味では、国家の威信が絶対であることを前提とするMMT理論との相性はとてもいいはずです。
ですが、だからこそ、あからさまにMMTを支持してしまうと、深く隠しておきたい本音が赤裸々になり、
さすがにまずい。この辺を巡って、アホノミクスの大将はかなり複雑な心境なのだと思います。

山本太郎さんも安倍首相も、私から見たら同じ穴のむじなです。れいわ新選組は非常にたちの悪い、
ポピュリズム(大衆迎合主義)を凝縮した危険集団だと思います。彼らの発想は「緊縮財政の必要性など
一切考慮せずに大盤振る舞いの財政支出を展開する。そのことによって国家主導の経済体制を構築する」
という国威発揚型の国家観に根差している。そう見えます。公務員の増員、水道や鉄道などへの
公共支出などを主張していますが、かつて(1930年代から第二次大戦中にかけてイタリアの独裁者として君臨した)
ムッソリーニや(同時期ドイツの総統だった)ヒトラーが軍事目的と失業対策を兼ねて高速道路を整備した
歴史を彷彿させます。それにLGBT(レズビアンやゲイなどの性的少数者)の人や重度身体障害のある人を
候補者に立てて話題になりましたが、このやり方には、表立って政策を批判しにくくする“煙幕”効果を
狙ったのではないかと勘繰りたくなります。そんなれいわ新選組がMMTを支持していることは、危険な体質が
素直に表れているという意味で非常に分かりやすい。

サンデー毎日 2019年9月22日号
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