諫早再審理へ、でも… 裁判官意見に透ける「開門せず」

 「特殊で暫定的な判断だ」――。諫早(いさはや)湾(長崎県)を閉め切った堤防の排水門をめぐる13日の最高裁判決は自ら結論は出さなかったものの、開門を命じた確定判決を維持することへの疑問をにじませた。
裁判官が個別につけた意見を読み解くと、「開門せず」という最終判断を導こうとするメッセージが強く浮かび上がる。

 4人の裁判官で構成する第二小法廷は、福岡高裁が確定判決を「無力化」する根拠とした「漁業権の消滅で、開門請求権も消滅した」という論法を否定し、「他の理由の有無」について再審理を求めた。
この「他の理由」に個別意見で具体的に言及したのが、裁判長を務めた菅野博之裁判官。国が7月の最高裁弁論で訴えた三つの主張と合わせ鏡のようだった。

 一つ目は、確定判決が開門の前…

https://www.asahi.com/articles/ASM9F663PM9FUTIL048.html


諫早湾干拓事業
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AB%AB%E6%97%A9%E6%B9%BE%E5%B9%B2%E6%8B%93%E4%BA%8B%E6%A5%AD
菅直人の上告見送り
菅直人はかねてより自民党が推進していた本事業を「無駄な公共事業」として強く批判しており、
政権を取る前にも市民運動家やTVカメラを伴って水門に押しかけて水門をただちに開けるように要求するなどの行動を行っていた。
2009年9月民主党政権が誕生すると、民主党の検討委員会が「開門調査を行うことが適当」という見解を2010年4月にまとめた。
2010年12月15日、内閣総理大臣に就任した菅は、同年12月の福岡高等裁判所の判決について上告を断念すると表明した。
これに対して中村法道長崎県知事は「国営事業として進められたのに(地元に)一切相談・報告がなく、報道で初めて聞いた。大変遺憾だ」として不快感を示した。
政府内でも福岡高裁判決はあまりにも一方的であるとして上告する意見が大勢であった。
諫早市長の宮本明雄(当時)や仙谷由人官房長官(当時)や鹿野道彦農水相(当時)が説得を試みたが、菅は「私が決断したことだ」と意見を変えず高裁判決を確定させた。
長崎県知事・諫早市市長・雲仙市長・地元商工団体、農業関係者は連名で菅に23項目の抗議の質問状を提出した。
産経新聞は、この判断により諫早湾干拓事業の問題が混迷化したと批判した。