(社説)96年前の虐殺 追悼拒む都知事の誤り
96年前の関東大震災の混乱の中、日本で暮らしていた多くの朝鮮人や中国人が、住民の「自警団」や軍、
警察によって殺害された。
その追悼式に、小池百合子・東京都知事は今年も追悼文を送らないと表明した。
知事は虐殺について「様々な見方がある」「歴史家がひもとくもの」とあいまいな言い方に終始している。
事実を軽視し、過去に学ぶ姿勢に欠ける振る舞いで、厳しい非難に値する。
この件にとどまらない。
日本の負の歴史について、研究の蓄積を無視した主張を言い募り、あるいは一部に疑問を投げかけて、
諸説があるかのような空気をつくり出し、公的な場から消し去ろうとする「歴史修正主義」の動きが近年相次ぐ。
追悼文の取りやめを定着させることは、そうした風潮に加担する行為に他ならない。
最近の日本でも大きな災害が起きるたびに、外国人が犯罪を重ねているといった悪質なデマが飛び交う事態が繰り返されている。
日本のみならず世界の心ある人々が知れば、幻滅し、その資質を疑うだろう。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14156440.html