「今より良い関係に…」参加者の意外なホンネ

胸に「NO安倍」と書かれたTシャツを身に着けた男性に話を聞いてみたところ、意外な答えが返ってきた。

「日本との関係は遠くないうちに改善されると思うが、(日韓は)今より良い関係に進むべきで(文大統領の演説は)
そのような状況に備えられる布石になると思い良いと感じた」
さらに別の女性に話を聞くと…
「個人的には日本と韓国と敵対的な関係に進むよりは、互いに協力できる部分は協力して良いお隣になればと思う」
「外交的な立場で大統領が(日本に対して)強力なメッセージを伝えるのはちょっと難しかったのではないかと思う」
また日本製品の不買運動に参加しているという男性は…
「国民の1人として考えれば、国家の代表として外交もあるし、いろいろ進むべき道があるから(日韓関係悪化の)
解決方法を探すために国民のように強いレベル(の批判)はできなかったのではないか」
「この局面が長続きするのは良くないと思う」
反日集会にわざわざ足を運び、日本への批判を強めている人たちでさえ、文大統領の演説内容に理解を示し、
日韓関係のこれ以上の悪化を望んでいないというのは意外だが、変化の兆しはあった。

私自身、日本の輸出優遇措置からの除外決定が発表された7月1日以降、何度も反日集会を取材しているが、当初「NO JAPAN」と
叫ぶ韓国市民の怒りは大きかった。しかしスローガンがいつの間にか「NO安倍」に変わり、「日本全体を敵視していないよ!」
「怒っているのは安倍政権だよ!」とPRする形に変わっている。「日本から韓国に来る観光客には親切にしよう」との呼びかけも起きている。

短期的かつ有効な対応策を打ち出せない韓国政府への漠然とした不安や、これまで1ドル1150ウォン前後を推移していた為替が8月になると
一時1ドル1224ウォンまで急落した経済の不安定さが、不買運動に熱を上げた韓国市民の怒りを冷ましたかのようだ。

取材で感じ取ったことに思いを巡らせる。集会に参加していない韓国人たちはもっと冷静に日韓関係を捉えているのかもしれない…。
さらには韓国政府が日本政府に妥協する余地が生まれるかもしれない、と。

https://www.fnn.jp/posts/00047756HDK/201908161130_naonorikawamura_HDK