レーダー照射、徴用工、対韓輸出規制……と日本と韓国の政治状況が冷え込んでいる。ところが、日本の若者の間では空前の韓国ブームが起きているという。なにが起きているのか。
取材を進めると、両国の新しい関係が見えてきた。【日下部元美】
中学生「ハングルも勉強」

 記者が東京・新大久保のコリアンタウンを訪れると、中高生や20代の若者がまちにあふれていた。平日のお昼過ぎにもかかわらず、まるで観光地のようなにぎわいだ。

 「自分の周りでは韓国のコスメ(化粧品)やアイドルがブームです」。埼玉県から来た中学2年、もえかさん(14)が大流行している韓国発祥のチーズドッグ「ハットグ」を手に取材に応えてくれた。
韓国のイメージを尋ねると「おしゃれで流行の最先端。ファッションがかわいくてまねしたくなる」と魅力を熱く語る。もえかさんはハングルも少し読めるという。
「アイドルが話していることを知りたいと思って自分で勉強しました」

 流行は女性の間だけではない。友人らとコスメ店にいた千葉県の高校生、安田圭吾さん(17)は週1〜2回は新大久保に来ているそうだ。
「2〜3年くらい前に学校の先輩がTWICE(韓国の女性アイドルグループ)が好きで、自分も好きになった。メンバーに日本人もいて親しみがある」と照れながら話した。

日韓政治対立と韓国ブーム 女子高生「政治と文化は無関係」

伸びるチーズが「インスタ映え」するとして人気があるチーズドッグ「ハットグ」を食べる若者=東京・新大久保で2019年7月18日午後4時20分、北山夏帆撮影
新大久保の人気は原宿より上

 マーケティング会社・トレンダーズが運営する若年層トレンド調査機関「TT総研」が、無料通信アプリ「LINE」(ライン)を通して
東日本と西日本の女子高校生計246人から回答を得た今年上半期のトレンドランキングでは、東西いずれの回答でも「チーズドッグ(ハットグ)」が2位に入った。
韓国の女性アイドルが身につけて爆発的に人気が出た「うさみみ帽子」も東4位、西5位にランクイン。好きな場所を選ぶスポット編でも、東で新大久保が若者たちが集う原宿やディズニーランド・シーを
上回る2位になり、西では韓国そのものが3位に入った。今後も新たな韓国のアイドルグループがランク入りすると見込まれ、トレンドは続くと予測されている。

 現在の韓国ブームは、K−POP、化粧品、グルメの3本柱。韓国企業は近年、アジア全体を中心とした海外展開に力を入れている。

 K−POPを代表する「防弾少年団(BTS)」は2014年に日本でデビューした。オリコンによると、
3日にリリースした日本での10枚目シングルは週の売り上げが62.1万枚を記録して初登場1位になった。
1位は4作品連続という。新大久保の韓国語教室「ハングルちゃん」の内田昌弘代表によると、受講生の9割は女性で主婦や会社員が中心。
「以前はドラマを見て習いにくる生徒が多かったが、最近はもっぱら歌がきっかけです」と語る。

 韓国コスメも若い女性に人気がある。財務省貿易統計によると、08年に118億4356万円だった韓国からの「精油・香料及び化粧品類」の輸入額は、
今回のブームが始まったとされる16年に262億6863万円になり、18年は364億5130万円と10年間で3倍に膨らんだ。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190720-00010002-maiv-pol