【ソウル=名村隆寛】韓国大統領府は4日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、日本政府による韓国向け半導体素材の輸出規制強化を「世界貿易機関(WTO)の規範や国際法に明白に違反した報復」と断定。
日本の措置撤回に向け、対応策をとっていくことを決めた。

大統領府によると、対応策にはWTOへの提訴のほか、国際社会に喚起するため「日本の措置の不当性と自由貿易主義への違反」を主要国に説明することが含まれている。
「報復」と既定したのは「安倍晋三首相がメディアとのインタビューでそう明らかにしたためだ」と主張している。

また、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は同日のラジオのインタビューで、いわゆる徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じた韓国最高裁判決への「明白な経済報復、国際法違反であり、撤回しなければ相応の措置を必ず取る」と断言した。

対韓輸出規制強化が4日から発動されたことで、韓国社会には動揺が広がっている。
メディアの報道の大半は、輸出規制強化に割かれている。中央日報など複数の韓国紙は、日本の措置が緒に着いたばかりであることを識者の意見を紹介して報道。
「日本が今後切る報復カードは190種類に及ぶ」(同紙社説)と危機感を前面に出した。自動車業界など、半導体以外の製造業にも悪影響が及ぶ可能性を懸念する報道も多い。

安倍首相は3日、党首討論会で「相手が約束を守らない中で優遇措置はとれない。禁輸措置ではなく優遇措置の撤回で、WTO違反ではない」と述べた。
このため「報復を認めた」とする報道も目立った。

ネット上では日本企業のリストとともに、日本製品の不買運動の呼び掛けが拡散。日本旅行中止をうながす書き込みも出ている。

https://www.sankei.com/world/news/190704/wor1907040021-n1.html
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