先に触れたように、この制度に対しては、国連や米国国務省などが勧告を続けてきた。例えば国連の自由権規約委員会は2014年7月に、性的搾取や死亡事故、強制労働の多発を指摘し、17年6月には米国国務省が次のように報告した。

「技能実習制度における労働搾取を目的とする人身取引犯罪の可能性に関して、非政府組織(NGO)からの報告や申し立てにもかかわらず、政府は、いかなる技能実習生も人身取引被害者として認知せず、また技能実習生の使用にかかわったいかなる人身取引犯も人身取引犯として訴追することはなかった」

 実習生の受入れには、2つのパターンがある。企業が送出し国に設立した現地法人や合弁企業の職員を受け入れる「企業単独型」と、送出し国の送出し機関から紹介された実習生を日本側の監理団体(事業協同組合、商工会などの非営利団体)が仲介して、「実習実施者」となる企業が雇用する「団体監理型」である。受入れの大半は後者だ。

 受入れ企業の違法状況は、国際的な批判を受け続けても、なお改善されていない。厚労省が16年に視察した受入れ企業5672社のうち、70.6%の4004社で労働基準関係法令違反が判明した。違反内容は多い順に労働時間(1348社・23.8%)、安全基準(1097社・19.3%)、割増賃金の支払い(771社・13.6%)、衛生基準(531社・9.4%)だった。

 新制度の発足に際して、政府は監理団体を許可制、実習実施者を届出制とし、実習生の保護などを目的に、17年1月に認可法人外国人技能実習機構を設立した。不正行為に対しては従来の「受入れ停止」「改善指導」「注意喚起」から「許可・認定の取消し」「業務停止命令」「改善命令」へと罰則を強化した。監理団体名・実習実施者名も公表する。

 さらに相手国政府と「技能実習に関する協力覚書」を締結し、実習生からブローカー経由で保証金を徴収するような送出し機関を排除する方針で、すでにベトナム政府とカンボジア政府とは締結を済ませた。
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