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「外交の安倍」誇示しようとしたが…米国とイランの間で困惑する安倍総理

イラン問題仲裁役を自任した日本の安倍晋三首相がオマーン海上タンカー襲撃事件で厳しい状況に置かれた。7月下旬の参議院選挙を控え安倍首相の外交力をアピールしようとした戦略にも支障が生じるものとみられる。

東京新聞は15日、安倍首相が両国の板挟みになったと伝えた。タンカー襲撃事件と関連しイランと米国のどちらに肩入れするのも困難な状況という話だ。

同紙はタンカー攻撃について米国がイランの関与を明確に言及したことでる、仲介役として外交成果を内外で誇示しようとしていた安倍首相の構想がはずれたと報道した。

12日から14日までイランを訪問した安倍首相はイランの最高指導者のハメネイ師に会い、米国との対話を促した。トランプ大統領のメッセージも伝えた。

しかしハメネイ師は「トランプ大統領を信じることはできない」として安倍首相の要請を一刀のもとに拒絶した。日本の船舶会社のタンカーが襲撃を受けたのはハメネイ師と会談している時刻とほぼ同じ時間帯だった。

ウォール・ストリート・ジャーナルは「中東和平問題に対しては初心者の安倍首相が痛みを伴う教訓を得た」とし、41年ぶりに日本の首相が訪問したが米国とイランの対立関係は以前より不安定になったと伝えた。

安倍首相の困難な立場は日本政府の公式立場にもあらわれる。

安倍首相は14日夜にトランプ大統領と30分間の電話会談で、「いかなる者が攻撃したにせよ、断固として非難する」と明らかにした。攻撃の主体を明確にしないまま、イランの肩も米国の肩も持たなかった。

米国の肩を持ってイランの攻撃を認める場合には仲介外交の失敗を認めるだけでなく、これまで積み重ねてきたイランとの友好関係が崩れることを懸念したとみられる。

実際に日本政府はタンカー攻撃主体がイランという米国の発表に対し疑問を提起している。共同通信が16日に伝えたところによると、日本政府は複数の外交ルートを通じて米国側に裏付けとなる証拠を示すよう米側に求めているという。

また、日本側は米国側に、攻撃主体がイランであるなら米国とイランの仲裁に出た安倍首相の体面が顕著に傷つく恐れがあり重大な事案のため、事実確認を徹底すべきとの立場も伝えた。

日本政府内では「最悪のタイミングで事件が起きた」という声が広がっている。特に7月下旬に行われる参議院選挙を控え年金安全性議論、イージスアショア配備問題、日米貿易交渉に続き悪材料が重なった状況だ。

19日に安倍首相と野党代表の間で行われる党首討論では、「安倍首相の仲介外交失敗」が野党の主な攻撃材料になるものとみられる。

日本共産党の笠井亮政策委員長は「核合意を守れと言う相手はイランではなく(核合意を)離脱したトランプ政権だ」として安倍首相のイラン訪問自体に問題があることを指摘した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190617-00000005-cnippou-kr