<社説>ヘイト対策法3年 差別許さぬ機運高めたい

ヘイトスピーチ対策法が成立して3年が過ぎた。国外出身者とその子孫の排除を扇動する不当な差別的言動は許されないと明記し、国や地方自治体に解消のための取り組みを求める法律だ。

残念ながらヘイトスピーチは後を絶たない。インターネット上には差別的な投稿が横行している。

3月には、日本年金機構世田谷年金事務所の所長がツイッターに匿名で「属国根性のひきょうな民族」「在日一掃、新規入国拒否」などと韓国人を差別する投稿をしていたことが発覚し、処分された。
韓国の空港で職員に暴行したとして逮捕され、その際「韓国人は嫌いだ」などと暴言を吐いたとされる厚生労働省の賃金課長が更迭されている。

まともな教育を受けたはずの公務員や公的業務を担う組織の職員の中にも差別意識をあらわにする人が出てきた。極めて危惧すべき状況だ。

人権意識の欠けた者が権力を手にすれば、ヘイトをなくすどころか差別を助長する方向に行政をゆがめかねない。
問題化したのは氷山の一角で、差別的な考えを持つ人はさまざまな部署に潜んでいるのかもしれない。

法務省は「○○人は殺せ」「祖国へ帰れ」といった言動をヘイトスピーチの具体例として挙げている。少しでも相手の立場になって考えれば罵詈(ばり)雑言を浴びせることなどできないはずだ。
他人の痛みなどお構いなしという風潮が背景にある。
ヘイトによって心に深い傷を負っても、ほとんどはなすすべもなく泣き寝入りしているのが実情だ。

ネット上のヘイトは止めどがない。沖縄についても、繰り返しデマ情報が流布されている。

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-924357.html
続きます