メイ首相の大罪

メイ首相のEU離脱交渉には問題があり過ぎました。
いったい誰に相談して決めているのだろう、と首を傾げ続けた3年近くでした。
英世論調査会社ORBによると、今月、メイ政権のEU離脱交渉を支持するのはわずか8%にまで低下、不支持は92%にのぼっています。

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離脱交渉が暗礁に乗り上げたメイ首相は保守党の強硬離脱派、北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)に続き、
与野党協議を続けていた労働党にまで見放されました。

「断末魔」と化したメイ首相はEUとの離脱合意が下院で承認されることを条件に、その合意を国民投票にかけるかどうかを
下院にかける10ポイントプランを発表しました。これに強硬離脱派は完全に切れてしまいました。

強硬離脱派のアンドレア・レッドサム下院院内総務が辞任。抜き打ち解散・総選挙で過半数割れを喫してからの2年間で、
辞任した閣僚や閣外担当相らは実に計50人。このうちEU離脱交渉が原因になったのは34人という惨状です。


メイ首相の内相時代に仕えた官僚の1人は以前から筆者に次のような見方を示していました。

「メイ首相はリスクを取ることを避け、ネガティブな報道や批判を嫌い、内務省の官僚や彼女のインナーサークル以外の人を
十分に信頼しないという3つの特徴がありました。このため、メイ首相は決断を避けるか、決断したとしても極めてまずいものになってしまいます」

「今回も最初からメイ首相は小さなグループだけからアドバイスを得ていたのでしょう。
経験豊富な官僚を排除し、その代わり内務省時代に一緒に働いたロビンズ氏を登用しました。
彼女は秘密主義で、決断をするのに時間がかかり、自分に同意できない人を遠ざけようとします」

「メイ首相はどんどん間違った方向に突き進み、その中に閉じこもってしまいます。
その結果、決して機能することのない計画に行き着いてしまい、最後まで執着するのです」。

それが英国のEU離脱交渉をここまで迷走させた大きな原因の一つであることは間違いありません。

(おわり)